当研究室は「生物化学講座」として昭和20年(1945年)3月に化学教室の第6講座として発足した長い歴史のある研究室です。平成28年(2016年)で創立72年目になります。なお、平成12年(2000年)よりは大学院重点化に伴い、研究室名は構造機能生化学研究室となりました。
歴代教授
これまで5名の教授が研究室を主宰してこられました。
初代 渋谷眞一(1945 – 1962)
二代 泉屋信夫(1962 – 1985)
三代 加藤哲夫(1986 – 1988)
四代 大野素徳(1988 – 1996)
五代 下東康幸(1997 – 2016)
これらの教授陣のもとで研究教育にあったのは下記の准教授および助教です。
歴代准教授(2008年までは助教授)
泉屋信夫(渋谷教授時代)1962年に教授昇任
牧角 啓(泉屋教授時代)1968年に化学教室第12講座酵素化学の教授に昇任
加藤哲夫(泉屋教授時代)1986年に教授昇任
青柳東彦(大野教授時代)1992年長崎大学工学部の教授に栄転
下東康幸(大野教授時代)1997年に教授昇任、2010年に主幹教授
坂口和靖(下東教授時代)2003年北海道大学理学部の教授に栄転
野瀬 健(下東教授時代)2013年九州大学基幹教育院の教授に昇任
松島綾美(下東教授時代)
歴代助教(2008年までは助手)
中石義勝、江藤宗嘉(渋谷教授時代)
中津誠一郎、牧角 啓(渋谷教授&泉屋教授時代)
内尾 材、藤田佳正、加藤哲夫、大野素徳(泉屋教授時代)
脇 道典、青柳東彦、下東康幸、小川智久(泉屋教授&大野教授時代)
野瀬 健、松島綾美、劉 暁輝(下東教授時代)
*永田(大川)礼子教務員は泉屋教授の下で研究教育に協力
リスクサイエンス研究センター(2011年〜2014年)
2010年、下東教授は主幹教授に任ぜられ、2011年4月にはリスクサイエンス研究センターを設立し、センター長に任ぜられました。この研究センターは、研究室と一体のもので、科研費・基盤研究Sの研究を先鋭的に推進する九州大学先導的学術拠点センターの一つでした。下東教授は部門長として化学物質評価研究部門を統括し、一方、野瀬准教授と松島准教授はそれぞれ計算科学部門、構造生物学部門の部門長として研究・教育を統括しました。
研究内容の変遷
渋谷教授は生体内グアニジン化合物について研究を展開しました。泉屋教授は、抗菌性環状デカペプチドのクラミシジンS やチロシジン、AMトキシンなどの植物毒性環状ペプチドについて、合成研究を基盤として広汎な構造活性相関解析の研究を実施し、数々の研究業績をあげました。また、リボヌクレアーゼT1やダイズBowman-Birk阻害体などについて、固相法によるタンパク質合成と構造活性相関の研究を展開しました。泉屋教授は1983年、「生理活性環状ペプチドの合成的研究」により日本化学会賞を受賞しました。加藤教授は、環状ペプチドのコンホメーション解析に業績をあげました。大野教授はハブの毒素タンパク質について構造活性相関解析の研究を展開し、特に、遺伝子解析の研究を開始し、酵素ホスホリパーゼA2の加速進化を分子レベルで証明する等の業績をあげました。下東教授は、Gタンパク質連関型受容体の活性化機構、概日リズム(サーカディアンリズム)の分子機構、内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の核内受容体応答機構、プリオンタンパク質のコンホメーション変化機構などについて、特に、リガンド ⇔ 受容体の双方向から構造機能相関解析の研究を展開しました。2008年のビスフェノールAの標的受容体として、当時の松島助教らとヒト核内受容体ERRγを同定した業績は、国際的に大きな反響を呼びました。
生物化学講座、構造機能生化学研究室は、こうして研究教育活動を継代、持続しています。