内容:講義×3とセミナ−×1をお願いしています。講義内容は密度汎関数理論(DFT)、Fundamental Measure Theory(FMT)関連です。
セミナーは蛋白質の構造関係になる予定です。
一連の”密度汎関数まつり”の最後です。
集中講義: Introduction to Density Functional Theory of Classical Systems: Theory and Applications
場所:生物第三講義室(箱崎地区理学部3号館2階)
11月28日(火)9:00〜12:00 lecture 1: The ideas of density functional theory
11月29日(水)9:00〜12:00 lecture 2: FMT and the White Bear version of FMT
11月30日(木)9:00〜12:00 lecture 3: Some applications of DFT and FMT
尚、午後はDr. Rothとの議論や質問の時間に充てます。特に長い議論や質問をしたい方は、
その時間もご利用ください。議論等の為の場所等については当日連絡致します。(それ
以前に決まればこのページに書いておきます。)
References (lecture):
予習をしたい方の為にリファレンスを伺ってあります。(1は、学内では手に入り
にくいかもしれません。)
1) The basics of DFT of classical systems and an overview of
applications: R. Evans, chapter 3 in "Fundamentals of Inhomogeneous
Fluids" edited by D. Henderson (Dekker, New York, 1992)
2) FMT: Y. Rosenfeld, Phys. Rev. Lett. 63, 980 (1989) ( This is the
original FMT paper.)
3) FMT: R. Roth, R. Evans, A. Lang, and G. Kahl, J. Phys.: Condens.
Matter 14, 12063 (2002) (This is the White Bear paper.)
4) a recent review on applications: J. Wu, AIChE Journal 52, 1163 (2006)
(AIChE stands for American Institute of Chemical Engineers).
セミナー: On the Physics of Protein Folding
場所:生物第二講義室(箱崎地区理学部3号館2階、講義を行う部屋の隣です。)
12月1日(金) 16:00から
ABSTRACT
Morphometric Approach to the Solvation Free Energy of Proteins
R. Roth, Y. Harano, and M. Kinoshita
We show that the solvation free energy of a complex molecule such as a protein
can be calculated within the morphometric approach, which uses only four
geometrical measures of the molecular structure and corresponding
thermodynamical coefficients. The geometrical measures are the volume excluded
by the molecule, the solvent accessible surface area and the integrated (over
the surface area) mean and Gaussian curvatures. The corresponding thermodynamic
coefficients are the pressure of the solvent, the planar surface tension and
two bending rigidities, respectively.
We compare results from this morphometric approach to those obtained by an
elaborate statistical-mechanical theory in liquid state physics for a large
variety of different structures of protein G and find excellent
agreement. Since the computational time is drastically reduced, the new
approach provides a practical and efficient way for calculating the solvation
free energy which can be employed when this quantity has to be calculated for
a large number of structures as in a simulation study of protein folding.
Within the morphometric approach it is easy to explore the role of the solvent
properties on the stability of a protein structure and to highlight the
importance of the entropy of the solvent for understanding the protein folding
problem.
プレレクチャー(DFTまつり前夜祭): Introduction to "Introduction to Density Functional Theory"
場所:理学部 生物第3講義室 (箱崎地区)
時間:11月27日(月)16:00〜
内容1を16時から、内容2を16時50分ごろから行いたいと思っています。
翌日(28日)からのRoth氏の密度汎関数理論(DFT)の連続講義に先立っ
て、日本語でプレレクチャーをします。学部学生の方や離れた分野の方の為の
イントロダクションを指向しています。前者は極力簡単に密度汎関数理論の
アイディアを説明するものです。後者は、『密度汎関数理論は、電子状態計算
の物じゃないの?』と、思われている方の為の電子状態計算のDFTと古典流体
のDFTとの橋渡しを目指すセミナーです。
内容1:『大学初年度の熱力学からはじめるDFT入門』
秋山良氏 (九州大学大学院理学研究院 化学部門)
密度汎関数理論(DFT)の超入門セミナーである。DFTは特定の現象のみを
扱うツールとして捉えるよりも、いろいろな現象をひとくくりに捉えて楽しい
ひと時をおくる為のアイディアとして捉える方が愉快であろう。その為には、
おもちゃ(=取り回しの簡単な模型)でイメージを作り上げる事が大事だと
おもわれる。大学初年度の熱力学を学んだ者なら誰でも知っているごく簡単な
模型と知識を使って、DFTそのものは簡単なアイディアに過ぎない事をお話し
したい。
内容2:『電子状態のDFT vs. 古典流体のDFT: Percusのアイディアは電子系
に有効か?』
墨智成氏 (豊橋技術科学大学 知識情報工学系)
密度汎関数理論(DFT)は外場の下での任意の多粒子系を対象として,その一体の
密度分布を与える理論的枠組みを持つ.本プレレクチャーでは,DFTにおける系
に依存しない共通の枠組みと,近似を導入して閉じた方程式を組み立てる過程と
を,電子液体と古典流体とを例に取り上げて説明する.特に,古典系のDFTにお
いて重要だと考えるパーカスのアイディアについて,詳しく説明する予定である.
2006年12月4日
墨智成氏
(豊橋技術科学大学 知識情報工学系)
アフター(?)セミナー : 相互作用点表示による分子性液体の積分方程式:密度汎関数理論による定式化
日時:12月4日(月)16:30から
場所:六本松地区2号館 1階 化学セミナー室
要旨:
相互作用点表示に基づく分子性液体の積分方程式理論の改良および新たな方法論
の開発は現在でも続いているが,広い熱力学状態に対して正確でかつ,水の水素
結合ネットワーク構造をもきちんと記述する積分方程式理論は,現段階で出され
ていない.我々は,これらを達成する有効な手法の一つとして,密度汎関数理論
(DFT)と分子性液体へ拡張されたパーカスの関係式とを組み合わせたアプローチ
を提案している.この方法の特徴は低密度極限で厳密な対相関関数を与え,かつ
二分子間の配向相関を露に考慮している点である.本セミナーでは,理論に関す
る詳細と,水を含む幾つかの分子へ適用した結果について説明し,時間があれば
今後の課題について述べる予定である.